よくある質問

75年以上にわたり、HOTSTARTはお客様が各自のニーズにぴったりのエンジンヒーターを選ぶお手伝いをしてきました。以下に、よくある質問とその回答を示しますので、ヒーターを選ぶ際の参考にしてください。ご質問がある場合や、カスタマーサービス担当者とお話になりたい場合は、03-6902-0551までお電話ください。カスタマーサービスチームがお客様のプロジェクトでのヒーター選定についてサポートさせていただきます。

あらゆる内燃機関とその部品(ピストン、シリンダー、ベアリング、潤滑油など)は、最適な温度範囲のもとで動作するように設計されて、工場から出荷されています。エンジン稼動中は、専用のエンジン冷却システムによってこの温度範囲を超えないように保護されます。

エンジンの停止中または待機中は、これらの部品の温度が次第に周囲の温度まで低下します。設置場所は、施設内の室温のエリア、屋外の発電機設置場所、冬場の機関車車両基地、極北の採掘現場などさまざまです。重要な役割を持つ流体を予熱・保温し、循環させる専用のヒーティングシステムがない場合、大きな出力を発生させる前にエンジンを適切な温度まで上昇させることができないと、不必要な摩耗や損傷が生じることになります。低温環境でのエンジン始動を繰り返すと、時間とともに排出ガスが増加したり、潤滑油が十分に行きわたらないなど、さまざまな問題を引き起こし、コストがかかってしまいます。このような問題を回避するため、エンジンを使用していないときも継続してアイドリングしておくこともできますが、燃料が無駄になり、コストがかかります。

エンジン未使用時に継続的に予熱・保温したり、始動する直前に予熱することで、低温環境でのエンジン始動を避け、負荷のかかる始動を繰り返すことで生じる問題を防止できます。さらに、燃料が無駄にならず、エンジン寿命も短くなることがありません。データセンター、病院、空港、保有車両など、重要なサービスでエンジンを利用する場合は、信頼性を確保し、必要な機能を維持するため、エンジンヒーティングシステムの導入を真っ先に検討する必要があります。

低温環境でのエンジン始動と聞くと、北極圏の厳しい冬の寒さや、高地の採掘現場などを思い浮かべるかもしれませんが、一般的なエンジンの稼動温度以下の環境、通常は38 °C (100 °F)以下の環境であれば、エンジンヒーティングシステムの必要性は変わりません。熱帯地方にあるデータセンターでも、気温が低下する夜間や、突然訪れる一時的な寒波などに備えて、寒冷地方のデータセンターと同様にエンジンヒーティングシステムを使ったエンジンの予熱・保温が必要になります。また、積み出し港や沿岸のガス圧縮施設などの、比較的温暖で湿潤な環境でも、エンジン停止中にエンジンシリンダーやオイルパンでのオイル凝固の発生を防止するためにエンジンヒーティングシステムが必要になることがあります。

エンジンヒーティングシステムは、環境にかかわらずエンジンの信頼性を最大限高めるとともに、エンジン寿命を長く保つための、コスト効率の良いソリューションです。

HOTSTARTのヒーティングシステムにはさまざまなモデルやヒーター電力の選択肢がありますので、自分のエンジンにどれを選べばよいか迷うかもしれません。

ほとんどの場合、ヒーター電力がもっとも重要な考慮事項となります。ヒーター電力が小さすぎると、エンジンヒーターがエンジンブロックを最適な温度に保とうとする際に多くの電力コストが生じることになります。逆にヒーター電力が大きすぎると、不要なヒーター電力にコストを支払うことになります。また、ホースやシールの寿命を縮めることにもなります。

ヒーティングシステムを選ぶ際には、エンジンサイズと、エンジンのウォータージャケットの全体的なクーラント量を把握しておくことをお勧めします。また、以下の点も考慮してください。

エンジンの周囲の予想される最低温度

  •  予熱・保温の効果を低減させるような、風などの要因が存在するかどうか
  • エンジンの予熱・保温に複数のシステム(クーラントとオイル、またはクーラント・オイル統合システム)を使用する予定かどうか
  • タンク型(自然対流式)または強制循環(ポンプ式)のいずれのヒーティングシステムを設置するか

タンク型ヒーターおよびHOTflow®ヒーティングシステムでは、これらの要素を、エンジンの排気量と予想される最低温度を条件として使用する1つの基本的なルールにまとめることができます。ほとんどの小型または中型のエンジン(5~50 L)では、次のルールを使用することでヒーター電力の実用に耐える見積もりを得ることができます。

  • エンジンの設置場所の温度が−18 °C(0 °F)以上に保たれる場合:

o   3×[立方インチ単位のエンジン排気量] = ヒーターのワット数要件、または

o   183×[リットル単位のエンジン排気量] = ヒーターのワット数要件

  • エンジンの設置場所の温度が-18 °C(0 °F)未満になる場合:

o   5×[立方インチ単位のエンジン排気量] = ヒーターのワット数要件、または

o   305×[リットル単位のエンジン排気量] = ヒーターのワット数要件

大型のエンジンや、より複雑な使用環境(特に複数のヒーティングシステムが必要な場合、大量の液体が必要な場合など)では、HOTSTARTの担当者と直接相談して、必要なヒーター電力を提供するヒーティングシステムを見極めることをお勧めします。

カスタマーサービスチームに直接お電話いただくか(03-6902-0551)、またはフォームよりお問い合わせください。

HOTSTARTのヒーターは、少ない設置面積で最大のヒーター電力を提供できるように設計されており、設置に大きなスペースは必要ありません。ヒーターの種類に応じて、ブロックに直接ねじで固定するものや、ブラケットやプレートを使用して外付けしたり、足元に外付けするものがあります。

ほとんどの場合、ヒーティングシステムをエンジン自体に直接固定することはお勧めしません。防振を施さずにヒーティングシステムをエンジンの振動にさらすと、時間が経つにつれて電気的接続や漏れなどの問題が生じます。このルールの例外として、インブロックヒーターやオイルヒーター(OW/OEシリーズ)があります。これらはウォータージャケットまたはオイルパンに直接取り付ける必要があるためです。

外付けのヒーティングシステムでは、振動の影響を受けないスキッドや、エンジンの振動から保護されたその他の場所にヒーターを設置することをお勧めします。HOTSTART CTMヒーティングシステムには、車両のエンジンルームや狭い発電機設置場所など、防振対策が施されていない設置場所で使用できるオプションの防振キットが用意されています。

設置時にヒーティングシステムの配管にフルボア型遮断バルブを取り付けることも良いでしょう。このバルブにより、エンジンクーラントを排出しなくても、必要なときにヒーティングシステムのメンテナンスを行うことができるようになります。

ヒーティングシステムの向きも重要です。特に、ヒーティングシステムの適切な設置場所を決める際に重要な考慮事項となります。TPS、CTM、CSMなどの一部のシステムでは、特定の向きでの取り付けのみが可能です。ただし、TPSおよびCTMでは、ホースの取り回しを簡単に行えるように、吸水口および排水口を調整できるようになっています。 

CKMやタンク型ヒーター(CB/CL、SB/SL、WL、およびEEシリーズ)などの他のHOTSTARTヒーティングシステムは、水平または垂直どちらの向きでも設置できます。垂直に設置する場合は、空気だまりの発生を防止するため、ホース上に凹凸部、水平部などができないように注意が必要です。まれに、タンク型ヒーターの場合、熱された流体がシステム内を流れるように促し、流量の問題を解決するために、排水口を吸水口よりも高い場所に置き、少し傾けて設置することができる場合もあります。ヒーターを適切に設置するには、モデルの取扱説明書をお読みください。

OW/OEシリーズのオイルヒーターを含む直接差し込み式ヒーターは、沈殿物がたまって問題が生じないように、流体タンクまたはパンの側壁に、容器の底面から最小限の距離をおいて取り付ける必要があります。差し込み式ヒーターは、ヒーターエレメントが焼き切れることを避けるため、予熱・保温中は完全に流体に浸しておく必要があります。また、差し込み式ヒーターは、流体の水位が変化したときにヒーターエレメントが空気にさらされることを防ぐため、タンクまたはパンの底面から上向きに取り付けてはいけません。

インブロックヒーターなどの一部の直接差し込み式ヒーターは、特定のエンジンの吸排水口向けに設計されているため、指定された場所に適切な向きで取り付ける必要があります。取り付ける吸排水口の場所は、モデルの取扱説明書に記載されています。

タンク型ヒーターやHOTflow®ヒーターなどの、エンジンのウォータージャケットの外部に取り付けるクーラントヒーティングシステムでは、ヒーターの寿命を延ばし、信頼性を高めるために吸排水口の選択が重要になります。ヒーティングシステム専用にエンジン側の吸水口と排水口が必要になります。吸排水口は、取り付けるヒーターで必要となる最小サイズの要件を満たしていることが必要です。ヒーターの取扱説明書で、吸排水口の最小サイズの要件を確認してください。

エンジン側吸水口

エンジン側吸水口とは、エンジンからヒーティングシステムに温度の低いクーラントを引き入れるポイントを指します。エンジン側吸水口は、もっとも温度の低いクーラントがヒーティングシステムに流れ込むように、エンジンのウォータージャケットのできるだけ低い位置にあることが必要です。ほとんどのエンジンの構造において、理想的なもっとも低い位置はエンジンの前方にある、下部のラジエーターホース付近です。

エンジン側排水口

エンジン側排水口とは、熱されたクーラントがヒーティングシステムからエンジンのウォータージャケットに戻るポイントを指します。排水口は、以下の2つの主な理由から、エンジンのウォータージャケットの高い位置にあることが必要です。

  • 排水口をエンジンの高い位置に置くことにより、吸水口からできるだけ遠ざけることができます。吸水口と排水口を離すことで、クーラントがエンジンブロック全体を流れることになり、温度が高くなりすぎたり低くなりすぎる場所を少なく抑えることができます。
  • 排水口をエンジンブロックの高い位置に置くことにより、熱されたクーラントが冷えるにつれてエンジンのウォータージャケットを下向きに流れることになり、重力に逆らわずに自然な流れを作り出すことができます。排水口をエンジンのジャケットの低い位置に置くと、熱されたクーラントは上向きに流れることになりますが、ほとんどの場合熱されたクーラントは急速に温度が低下し、ウォータージャケットの上部に達する前に自然に下向きに流れ始め、温度の低い場所ができてしまうため、ヒーターの効果が低減します。

また、排水口はエンジンのサーモスタットから離れた位置に置く必要があります。サーモスタットは、通常、エンジンの前方にある、上部のラジエーターホース付近にあります。このサーモスタットの付近に排水口を置くと、排水口からの熱されたクーラントによってエンジンのサーモスタットが作動し、熱されたクーラントがエンジンブロックではなくラジエーターに流れ込んでしまいます。ラジエーターはエンジンブロックの温度を下げる働きをするため、温度の高いクーラントがラジエーターを通ると急速に温度が低下し、エンジンの予熱・保温の効果が大幅に低下してしまいます。

排水口をエンジンブロックの後方付近に置くと、エンジンのサーモスタットが作動せず、吸水口からできるだけ離れた位置に置くことができ、エンジンヒーターの効果を最大限高めることができます。

V型エンジンでは、エンジンブロック全体を流体が流れるようにすることが重要です。クロスフローを促すため、吸水口を、エンジンのヒーターを設置した側と逆側に取り付けることができます。逆側のもっとも低い位置から流体を引き入れることで、熱されたエンジンクーラントがブロックの縦横どちらの方向にも流れるようになり、エンジンヒーターの効果を最大限高めるとともに、熱損失も最小限に抑えることができます。吸水口ではなく排水口をエンジンの逆側に置くと、リターンホースを延ばすことにより熱損失が増加するとともに、凹凸やたわみが生じて空気だまりが発生し、ヒーターの効果が低下したり、ヒーティングシステムの寿命が短くなったりする恐れがあります。

タンク型ヒーター、HOTflow®ヒーター、および大型の強制循環型システムでは、配管と継手が最小サイズの要件を満たしていることを確認してください。これにより、熱された流体がエンジンブロック、パン、または圧縮機全体を最大流量で流れるようになります。

タンク型ヒーターで使用できる継手の最小サイズ:

TPS 500~2000 W 3/8 inch NPT
CB/CL/SB/SL 1500~3000 W 1/2 inch NPT
CL/SL 4000~6000 W 3/4 inch NPT
WL/EE 1500~5000 W 3/4 inch NPT

 

タンク型ヒーターで使用できるホースの最小径:

TPS 500~2000 W 5/8 inch
CB/CL/SB/SL 1500~3000 W 3/4 inch
CL/SL 4000~6000 W 1 inch
WL/EE 1500~5000 W 1 inch

 

HOTflow®で使用できる継手の最小サイズ:

CTM 1000~2500 W 3/8 inch NPT
CKM 3000~6000 W 3/4 inch NPT
CSM 3000~12000 W 3/4 inch NPT

 

HOTflow®で使用できるホースの最小径:

CTM 1000~2500 W 5/8 inch
CKM 3000~6000 W 1 inch
CSM 3000~12000 W 1 inch

 

強制循環型ヒーティングシステム

強制循環型ヒーティングシステムの配管の要件は、システムの構成、取り付けられているポンプ、流体の種類に応じて、モデルにより異なります。具体的な最小要件については、設置・操作マニュアルを確認してください。ただし、すべての強制循環型システムで以下の要件が求められます。

  • 吸水管はポンプの吸水口と同じサイズ以上であることが必要です。使用できる最大の内径サイズのホースを使用して、流量が最大になるようにすることをお勧めします。
  • クーラントシステムの吸水口は、エンジンのウォータージャケットのできるだけ低い位置に取り付ける必要があります。

オイルシステムの吸水口は、エンジンまたは圧縮機のオイルパンのできるだけ低い位置に取り付ける必要があります。ただし、パンの底面に取り付けたり、ごみや沈殿物がヒーティングシステムに流れ込むような低い位置には取り付けないでください。吸水口にできるだけ近い位置にスウィングチェックバルブまたはフルボア型チェックバルブを取り付け、オイルのパンへの逆流を防ぐことをお勧めします。

HOTSTARTヒーターは簡単迅速にご注文いただけます。

まず、使用環境に適したヒーターを選びます。ヒーターの選定には、以下のリソースを使用できます。

  • インブロックヒーターでは、インブロックヒーターツールを使用します。
  • 製品概要については、よくある質問の「自分のエンジンに適したヒーターを選ぶ方法を教えて下さい」を参照してください。
  • 人気のあるモデルの一覧については、製品カタログを参照してください。
  • 製品検索では、HOTSTARTの製品を検索したり、絞り込んだりできます。
  • カスタマーサービスチームに直接問い合わせ、ヒーティングシステム選定のサポートを受けることができます。

ヒーターのモデル、動作特性、製品番号がわかったら、以下の方法でヒーティングシステムを購入できます。

  • カスタマーサービスチームに連絡して、HOTSTARTから直接注文できます。
  • 世界中にあるHOTSTART製品販売店から注文することができます。
  • Cummins、Detroit Diesel、Generac、Kenworth、Kohler、MTU Onsite Energy、Peterbiltを含む、現地OEM HOTSTARTディーラーから注文することができます。

ヒーターの設置手順および必要な工具は、設置するヒーターの種類およびモデルに応じて異なります。ですが、設置時に必要となる共通の基本事項があります。最低限、ヒーターを設置する前に、システムからクーラントまたは潤滑油を抜き、設置の準備をする必要があります。また、吸排水口の配置のガイドラインおよび最小サイズ要件を満たすように、エンジンブロックまたはパンの吸水口および排水口を選択する必要があります。タンク型ヒーターまたはHOTflow®ヒーターの設置では、最初にヒーターの電源を入れる前に、エンジンを動作させてシステムから空気だまりを取り除く必要があります。そのため、ヒーターを取り付けたら、エンジンを始動できる状態であることを確認してください。

設置前:

  • クーラントヒーティングシステムでは、エンジンブロックおよびラジエーターからクーラントを排出します。
  • オイルおよびクーラント・オイル統合システムでは、パンから潤滑油を排出します。
  • エンジンブロックまたはパンのどの吸排水口を各ヒーティングシステムの吸排水口にするかを選択します。
  • ヒーターの設置場所を選び、必要に応じて適切な防振対策を施します。
  • ヒーターの設置場所から各吸排水口までのホースの取り回しを計画します。

一般的な工具:

  • ドライバー、レンチ、ソケットなどの、機械工が使う基本的な工具
  • 基本的な電気工具
  • ボウルやバケツ、雑巾
  • 目の保護具と手袋

配管:

  • ホース(最小径の要件については取り扱い説明書を参照してください)
  • 継手(最小サイズの要件については取り扱い説明書を参照してください)
  • フルボア型遮断バルブ(メンテナンス用にお勧めします)

電気:

  • ヒーターの仕様に適合し、適切な接地が施されたプラグインまたはハードワイヤー式電源
  • 電源を遮断できるポイント(すべてのハードワイヤー式ヒーターでお勧めします)
  • CSMモデルおよび工業用強制循環型システムの自動リモート運転のための24 Vのエンジン動作信号ソース(通常はエンジンの燃料ポンプ)
  • すべての三相製品、およびコンタクターまたはトランス(変圧器)が必要な単相製品では、制御盤(お客様がご用意ください。モデルの取扱説明書を参照してください)
  • モデルの取扱説明書で推奨されている追加の電気部品(工業用差し込み式ヒーター用の水位スイッチなど)

その他:

  • 操作や設置のトラブルシューティング用のレーザーまたは赤外線温度計や類似のツール

インブロック、タンク型、およびHOTflow®ヒーターの取扱説明書では、最初にヒーターの電源を入れる前に、稼動温度に達するまでエンジンを稼動させることを推奨しています。

エンジンが稼動温度に達すると、エンジンのサーモスタットが作動し、クーラントがラジエーターを通ってエンジンブロックに戻されます。このプロセスを経て、エンジンのウォーターポンプによりクーラントがエンジンブロック全体からラジエーターへと流れ、残っている空気がシステムから除去されます。

冷却システムから空気を除去するエンジンに備え付けの方法を使用することで、新たに設置したヒーターおよび配管を含めたシステム全体にエンジンのウォーターポンプがクーラントを行きわたらせ、設置中に発生した空気だまりや気泡を確実に除去します。

ヒーターの電源を入れたときに空気だまりが残っていると、ブロックとの間の流体の流れが妨げられます。流れが妨げられると、ヒーターエレメントによりクーラントが沸騰状態となり、さらに大きな空気だまりができたり、エレメントが空気にさらされることになります。空気に直接さらされたエレメントはすぐに機能しなくなり、エレメントの交換や、ヒーティングユニット全体の交換が必要となる可能性があります。

簡単で、時間もかかりません。設置したその日からヒーティングシステムを安全に使用できるようにするには、この手順を行ってください。ヒーターの設置および最初の稼動についてご質問がある場合は、カスタマーサービスチームにお問い合わせください。

インブロックヒーターまたは直接差し込み式オイルヒーターを取り付けた保有車両では、コストを削減できるかどうかは多くの場合気象次第です。エンジンの予熱・保温が必要かどうかにかかわらず、ヒーターの電源を入れていると、電力コストが発生します。機器の操作担当者が気象条件にかかわらず毎晩ヒーターの電源を入れた場合、不要な電力コストが多くかかる可能性があります。しかし、電源を入れるかどうかを機器の操作担当者任せにしたり、タイマーで電源を入れたりすると、翌朝気温が予想以上に下がった場合に負荷のかかる始動を行うことになったり、最悪の場合はまったく電源が入れられない危険性があります。

この問題への解決策として簡単に導入できるものに、TwinStat™コードがあります。このコードを取り付けたヒーターは、外部の気温が4 °C(40 °F)以下になった場合にのみ動作します。春や秋に気温が温暖な状態が続く場合、ヒーターの電源はオフのままとなり、電力を消費しません。気温が下がると、コードによって自動的にヒーターの電源が入れられるので、機器を保護するとともに、翌朝スムーズに始動できるなどのエンジンの予熱・保温のあらゆるメリットを享受できます。

バックアップ用発電機では、発電機の耐用期間中に発電する電力よりもはるかに多くの電力を消費する可能性があります。その要因の1つとしてエンジンヒーティングシステムが考えられます。発電機はエンジン始動から10秒以内にフルパワーで稼動できることと定める、非常用および予備電源システムのためのNFPA 110基準を満たすようにエンジンヒーティングシステムが取り付けられるからです。

この要件を満たすため、工場で組み立てられる多くの発電機には、タンク型エンジンヒーティングシステムが1つまたは2つ取り付けられています。これらのヒーティングシステムは、発電機がフルパワーでの稼動の要件を満たせるように、必要なエンジンの予熱・保温を行いますが、流体のこの循環方式は、同等のポンプ式ユニットに比べて効率性の点で劣ります。多くの場合、発電機には2つのタンク型ヒーターが取り付けられていますが、これを1つのポンプ式ユニットに置き換えることができます。

タンク型ヒーターは対流を利用して流体を循環させますが、対流を生み出すためにはヒーターエレメントで流体を非常に高い温度まで熱する必要があります。ヒーターを使い続けると、この余分に必要となる電力が積み重なります。また、タンク型ヒーターで発生する高い温度により、配管ホースの交換がより頻繁に必要となり、トータルの所有コストがさらに増加します。

このような場合、従来の自然対流式ヒーティングシステムを、HOTSTART HOTflow®ヒーターなどの強制循環型システムに置き換えることで、電力コストを大幅に削減できます(場合によっては最大35%削減できます)。2つの自然対流式ヒーターを1つのヒーターに置き換えることで、全体的なシステムの複雑性も低減し、メンテナンスコスト削減にもつながります。さらに、タンク型ヒーターで高温にさらされていた配管の温度も下げることができるので、定期的なメンテナンスでの交換頻度が下がり、メンテナンスの時間とコストの削減になります。

HOTflow®およびその他の強制循環型ヒーティングシステムについて詳しくは、HOTflow®ソリューションのページを参照してください。HOTflow®システムの設置に関する認定に興味をお持ちの技術者の皆様は、HOTflow®技術者認定トレーニングのページでウェビナー参加の詳細を確認してください。    

HOTSTARTは、末永くヒーターをご利用いただけるように、ご満足いただけるサービスを提供しています。その一環として、修理や部品の交換を簡単にご利用いただけます。以下のいずれかの方法で、HOTSTARTヒーターの交換用部品を注文できます。

  • カスタマーサービスチームに連絡して、HOTSTARTから直接注文できます。
  • 世界中にあるお近くのHOTSTART製品販売店から注文することができます。
  • Cummins、Detroit Diesel、Generac、Kenworth、Kohler、MTU Onsite Energy、Peterbiltを含む、現地OEM HOTSTARTディーラーから購入することができます。

交換用部品をご注文の際は、識別プレートに記載の型番
と製造番号をお知らせください。

石油・ガス業界や船舶のエンジンで使用されるような大型の強制循環型ヒーティングシステムには、ユーザーのシステムインターフェイスにエラー信号および稼動状態を送信できる接続が備わっており、ヒーティングシステムのステータスおよび正常性についての最新の情報を取得することができます。

大型ではないシステムのユーザーは、ヒーティングシステムの稼動状態をいくつかの追加のツールを使用して評価できます。少し手入れをすれば、正しく動作していないヒーターの修復を行える場合があります。また、ヒーターの性能を大幅に向上させることができる場合もあります。

タンク型ヒーターの場合、循環は加熱によってのみ生じるため、正しく設置できているか把握するのが難しい場合があります。ただし、一度取り付けると、タンク型ヒーターはリターンホースを温め始めます。技術者は、リターンホースを触ることで、ホースが温められており、熱されたクーラントがエンジンブロックに流れ込んでいることをすぐに確認することができます。

赤外レーザー温度計がある場合、リターンホース、サプライホース、ヒータータンク、およびエンジンブロックの温度を確認できます。赤外線カメラまたは録画装置を使用することで、このトラブルシューティングをさらに一歩進めて、ヒーターおよびエンジンブロックにおけるパターンの画像を撮影できます。これらの赤外線録画装置は、タンク型およびHOTflow®の両方の環境で、温度が高くなりすぎたり低くなりすぎる場所を検出することができるので、問題をトラブルシューティングし、ヒーターの設置方法を改善するための優れたツールとなります。

よくある問題には以下のものがあります。

ヒーティングシステムで予熱・保温が行われない。周囲の温度が高かったり、エンジンが稼動したばかりの場合に、流体の温度がヒーターのサーモスタットの範囲を超えると、流体がその温度以下まで冷却するまでの間予熱・保温が行われません。また、電源に不具合があって予熱・保温が行われていない場合もあります。電源およびヒーターのコードに損傷がないか確認してください。上記の事項を確認しても引き続き予熱・保温が行われない場合、サーモスタットまたはエレメントを検査して、正しく動作していることを確認します。

継続的に予熱・保温が行われる。タンク型ヒーターは、通常、1時間に4サイクル動作します。ヒーターが継続的にオンとなり、一定時間ごとにオフにならない場合、使用環境に対して十分なヒーター出力がないか、ヒーターからエンジンブロックに熱を循環させるよりも速くエンジンで熱が失われている可能性があります。予期しない気温の低下、強風、ラジエーターから除去される熱が多すぎるなどの原因によって、ヒーターの性能に影響が生じることがあります。ヒーターの排水口がエンジンのサーモスタットに近すぎると思われる場合は、赤外線温度計またはカメラを使用して、ラジエーターで熱がどの程度除去されているかを確認できます。

上記の事項を確認しても引き続きヒーターの運用に問題が発生する場合、または設置および操作のヒントやサポートが必要な場合は、HOTSTARTサービスチームに直接連絡して、サービスおよびサポートを受けることができます。